【浄土真宗大谷派(東)の仏壇】の飾り方を解説。仏具の配置、お供えetc

本日は仏教の宗派の一つでもある「浄土真宗大谷派(東)」における基本的な「お仏壇の飾り方」をご紹介いたします。
浄土真宗大谷派(東)」の方はこちらのページをご覧いただければ「浄土真宗大谷派(東)に沿ったお仏壇作り」をすることができ、迷われることはないかと存じます。

浄土真宗大谷派(東)は他の宗派に比べて、お仏壇の飾り方が異なる点が多いです。
従来はお仏壇自体を「金仏壇」を推奨している宗派であったり、お位牌を飾らず過去帳を飾ったり、仏具は金色のものを推奨していたり、と色々飾り方が他宗派と異なります。
ですがお仏壇業界全体で「金仏壇」を現在新規で購入される方は、本当に少なくなっており、なので本記事は現在、主流の「モダン仏壇」における浄土真宗大谷派(東)の飾り方を中心に説明します。従来の仏具を一部使ったり、仏具の金色を推奨する部分を残したりと、伝統を残し、今に合う「浄土真宗大谷派(東)の飾り方」をご紹介いたします

この記事がお仏壇の購入を検討されている方のお役にたてれば幸いです。

そもそも浄土真宗大谷派(東)ってどんな宗派?

浄土真宗大谷派は「お東さん」の愛称でも親しまれています。浄土真宗は、鎌倉時代に親鸞聖人が開いた宗派で、室町時代の蓮如上人によって全国の民衆へ広まりました。元々、浄土真宗は一つでしたが、本願寺11代目にあたる顕如が、長男の教如ではなく、三男の准如を後継者に選んで12代目にしたため内部分裂を起こしました。徳川家康は、このお家騒動を本願寺の力を削ぐために利用し、本願寺を東西に分け、現在の西本願寺と東本願寺が生まれました。

浄土真宗大谷派(東)の総本山 東本願寺

浄土真宗大谷派(東)の推奨の「お仏壇の向き」

基本的にどの向きを向いているからダメといった決まりはありません。どの向きでも大丈夫です。ですが宗派ごとにどの向きが良いといった考え方もあります。浄土真宗大谷派(東)の場合は「西方浄土説」を推奨しており、西方浄土の方向にある西に向かって拝めるように、仏壇を東向き(お仏壇の扉を東に向ける)に安置するのが良いとされています。ですが家の中でぴったりの向きにご設置されることはなかなか難しいですので深く気にされる必要はないでしょう。

【西方浄土説】お仏壇の扉が東向きになる向き

お仏壇の向きについて、さらに詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。

【お仏壇の向き(方角)について】各宗派推奨の向き、鬼門と仏壇の関係を紹介

浄土真宗大谷派(東)のお仏壇への「仏具の飾り方」

お仏壇への仏具の飾り方においては比較的どの宗派も同じように飾ります。ですが宗派によって必ず変わるのは「ご本尊・脇侍」です。また、お位牌への考え方は浄土真宗大谷派(東)においては他宗派と大きく異なりますので、後程詳しくご説明いたします。

ご本尊の飾り方【浄土真宗大谷派(東):東立阿弥陀如来〈お仏壇上部中央〉】

お仏壇にもご本尊様があることにより「故人が仏の世界でもお守りされる」、また「生きている私達も守ってもらえる」と言われています。お仏壇本来の意味合い的にも、ご本尊様はお仏壇の中では、一番重要なものとされています。

ご本尊は東型の光背の前に立った姿の阿弥陀如来像です。正式名称は東立阿弥陀如来です。阿弥陀如来は直ちに人を救おうとする姿勢のため少し前に傾いています。

浄土真宗大谷派(東)の本尊、東立阿弥陀如来をお仏壇に飾った画像

下記の画像のように「仏像タイプの本尊」と「掛け軸タイプの本尊」があります。基本的にどちらをお選びいただいても大丈夫です。浄土真宗大谷派(東)の場合、寺院によっては「掛け軸タイプの本尊」にして下さいという厳格な寺院も過去にいらっしゃいましたので、寺院との関係が深く、気になる方は購入前に寺院に訪ねてみると良いでしょう。

ご本尊のタイプ(仏像と掛け軸)

掛け軸タイプのご本尊の場合の注意点【浄土真宗の西と東で掛け軸がそっくり】

ちなみに下記の2つの掛け軸ですが非常にそっくりですが、絵柄が微妙に異なります。よく見ると後光の本数が異なります。上部の黄色い部分を数えると左の浄土真宗本願寺派(西)は8本あり、浄土真宗大谷派(東)は6本あります。
良くどっちがどっちだか忘れてしまいやすいので、私は判別するときに「西が8(2×4が8)」と掛け算の語呂で覚えています。
購入する場合はお店の店員さんが詳しい方だと良いのですが、新人スタッフなどだと間違えていたりすることも考えられますので購入したら注意してみてみましょう。

浄土真宗本願寺派と浄土真宗大谷派の掛け軸の見分け方

ご本尊のサイズのバランス参考

ご本尊はお仏壇中央の一番高い位置に飾るのが決まりです。また「ご本尊の高さ」は「お位牌の高さ」よりも高くする方が良いとされています。理想としては「ご本尊の目線の位置」より「お位牌の最上部」が下にあることが理想です。

ご本尊を飾る際のサイズのバランス

さらに詳しく知りたい方は

脇侍の飾り方【浄土宗:左、九字名号・右、十字名号〈お仏壇上部両脇〉】

お仏壇にもご本尊の両脇にはお飾りが丁寧な方は脇侍を飾ります。脇侍(脇掛や脇仏ともいう)は基本的にその「宗派を作った開祖」や、宗派を救ったり広めたりした「中興の祖」や「その宗派の教え」などを「掛け軸」などで飾ったりします。

浄土真宗大谷派(東)の場合は左側が九字名号で右側が十字名号となります。それぞれがどんな意味があるかを簡単にご説明します。

浄土真宗大谷派(東)脇侍、九字名号と十字名号を飾った画像

脇侍左の九字名号について

九字名号は「南無不可思議光如来」と書かれています。意味は「私たち人間では到底思い量る(思議)ことのできない大いなる仏様に帰依します」という意味です。

脇侍右の十字名号について

十字名号は「帰命尽十方無碍光如来」と書かれています。意味は「滞る事なく十方を照らして、どんな隅々の者までもお救いくださる仏様に帰依します」という意味です。

浄土真宗大谷派(東)は「お位牌を作らない宗派」。お位牌の代わりに過去帳を飾ります。

浄土真宗は、正式にはお位牌を作らない宗派となります。理由としては浄土真宗の死後の考え方によるもので、浄土真宗の考えでは「亡くなった時点で成仏される」と考えているので、お位牌を作ったりしなくて良いとされています。
お位牌の代わりに「過去帳」という仏具を設けるのが一般的です。

過去帳の飾り方

過去帳」とはご先祖様の戒名・俗名・没年月日などを記した、各家庭に伝わる系譜です。通常どの宗派も使用すると丁寧な仏具とされておりますが、「浄土真宗」においては、お位牌の代わりとして使うのが一般的な仏具です。

過去帳をお仏壇に飾ったイメージ

お位牌が故人の魂が込められている、故人そのものと考えられていることに対して、過去帳は魂が入っているものではなく家系図の意味合いが強いことが特徴です。なので過去帳には入魂はしません。

飾る場所については特に厳格な決まりはありませんので見やすく、日めくりやすい位置に飾ります

お位牌を設けたい方へ

浄土真宗の方でも日本人の感覚からお位牌を飾りたいという方は沢山いて、宗派の教えに関係なくお位牌を作られる方も多いです。当店でも約半数近くのお客様はお位牌を作られる背景があります。もしお位牌を作りたい方は下記の記事をご覧ください。

お位牌作らない「浄土真宗」でもお位牌を作りたい方へ【お位牌の作り方】

仏具の飾り方

仏具によって荘厳(しょうごん)して初めてお仏壇としての意味を持ちます。仏具はご本尊を供養するのと共に、ご先祖や亡き人を供養するためのものです。
まず初めに見ていただきたいのが、従来の仏壇(唐木仏壇や金仏壇)の場合の、飾り方です。浄土真宗大谷派(東)の仏具の飾りつけ方は非常に細かく、仏具も特殊です。

浄土真宗大谷派(東)の従来型仏壇の仏具の飾り方

特徴としては浄土真宗大谷派の方は「金色の仏具」を推奨して飾ることや、「鶴亀の形の灯立て(利休型灯立)」「透かし香炉と呼ばれる緑の香炉」「透かし香炉の下に敷く逆三角形の打敷」などを飾ったりと非常に仏具の飾り方に決まりが多く、飾り方が難しい宗派です。現代の時代でこちらのような従来のスタイルでお飾りされる方が非常に少なくなってきておりますので、本日はこちらの従来の仏具の飾り方ではなく「モダン仏壇における浄土真宗大谷派の仏具の飾り方」にフォーカスを当ててご紹介いたします。

モダン仏壇の仏具の飾り方【浄土真宗大谷派向け】

お香を立てることも、お花を飾ることも、ロウソクに火を灯すことも、ご飯やお水をお供えすることと一緒で、仏様への「お供え」です。この5つのお供えを「五供(ごくう)」といいます。
仏具セット」は上記の五供を基本にした5点セット+線香差しをプラスした6点セットが一般的です。

浄土真宗はお仏壇に「お水orお茶」をお供えしない宗派です。なので通常の「仏具セット」は6点セットなどになっていてバラ購入ができないことが一般的です。単品で仏具を購入される方は「単品仏具」からご注文下さい。

浄土真宗大谷派(東)のモダン仏壇のおすすめ飾り方


■使用したアイテム


ご飯のお供え方

ご飯はお仏壇中段にお供えします。基本的には朝炊き立てのご飯を供えて、その後おさがりを頂きます。毎日お供えが大変という方は月命日やお盆・お彼岸・お正月など節目節目にしっかりとやられることをおすすめします。毎日食べ物に困ることなく生活できていることへの感謝を示す意味もあります。また浄土真宗本願寺派(西)と浄土真宗大谷派(東)でご飯の盛り方に違いがあり、浄土真宗大谷派(東)はハスの実のように円筒形にご飯を盛るのが正式とされています。この形にするために盛糟(もっそう)という仏具を使用することもあります。
浄土真宗本願寺派と浄土真宗大谷派のご飯の盛り方の違い

華鋲(けびょう)のお供え方

ご本尊の足元に飾ります。華鋲は、樒(しきみ)の葉や華鋲用の常花を挿し、水入れとして用いる仏具です。こちらは浄土真宗専用の仏具で他の宗派では使用しない仏具です。必須仏具ではないものの、浄土真宗の従来の飾り方に少し寄せた、任意の仏具です。華鋲は黒色と金色の2色が存在しており、浄土真宗大谷派では金色が推奨されています。(浄土真宗本願寺派は黒色です)
樒のブリザーブドや常花などもありますので、普段はそちらを活用しても良いかもしれません。ちなみに華鋲ではなくて代わりに「ミニ常花」を飾ってもおかしくありません。

お花のお供え方

花立てに飾るお花は、花の芳香によって邪気をはらい、場を清らかにするという意味もありますが、美しい花を飾り、仏様に喜んで頂くという意味合いもあります。当店では水やり不要の「ブリザーブドフラワー」が非常に人気です。また合わせて「お仏壇に飾るおすすめのお花・飾ってはいけない花はありますか?」というQ&Aもご覧いただければ幸いです。

ロウソクのお供え方

灯立ては仏様の「知恵」を意味するローソクの明かりを灯すことで、あの世からこの世への誘導灯となり、架け橋の役目を果たしてくれます。線香の火はなるべくロウソクからつけるようにします。当店では「10分ロウソク」といったような短いロウソクを良く販売させていただきます。短い方が安全ですので是非ご検討下さい。

お線香(香炉)のお供え方

浄土真宗の正式な線香のお供え方はお線香を横に寝かせてお供えするのが正しい線香のお供え方法です。なので前香炉の形状は「末広がりの形状」か「少し大きめサイズ」がおすすめです。前香炉の内部は「従来の香炉灰(白い灰)」がおすすめです。当店で人気の天然石の「洗える香炉石」では線香が燃えきらずに消えてしまう為です。
前香炉でたくお線香は「香食(こうじき)」といって香りは亡くなった方の食べ物であるとされています。天に上ってゆくお線香の煙が、この世とあの世を繋いでくれると言われています。

浄土真宗は線香を寝かせて供えます

リンの飾り方

一般的に仏様にお線香をあげ、手を合わせる際の合図として使われる仏具です。飾る位置としては最下段の右側が良いでしょう。様々な種類のおりんがありますので、音色の美しさかデザインやカラーで決められて良いでしょう。選び方については「おりんの選び方」をご覧ください。

また「おりん」が響かせる音は、空間を清めて邪気を払うとされています。供養や祈りを「おりん」の音に乗せて、極楽浄土に届けるともいわれます。

【購入後】御移従法要(入魂)について

お仏壇の「ご本尊」を新しく購入したら御移徙法要(おわたましほうようorごいしほうよう)を行います。他の宗派では開眼供養と呼ばれるものです。
あくまでご本尊様に対して行う為、お仏壇を新しくしたら ではなく、ご本尊を新しくしたら御移徙法要を行います。(一部地域ではお仏壇に対しても行うようです)
タイミングとしては49日法要が控えていれば49日法要と一緒に御移従法要もしてもらいます。また49日法要を控えていない場合は、付き合いのあるお寺さんにお願いして随時、行います。さらに詳しくは下記の記事をご覧ください。

【開眼供養・入仏式】仏壇・位牌・本尊の購入後にする入魂の手順と熨斗袋

まとめ

浄土真宗大谷派(東)の方でお仏壇をご用意される方は是非この記事をご覧いただいてからご注文頂ければ幸いです。

浄土真宗大谷派(東)は仏具の飾り付け方が非常に難しい宗派の一つです。従来は仏壇の形式(金仏壇)、仏具の色など指定がありました。筆者の考えとしては従来のものをすべて根本から変えてしまうことはなるべく避けたいという考えがあります。ですが従来の金仏壇が新規でほぼ売れていない現代の状況を見ると、仏壇業界全体が時代に合わせて変わっていかなければならないという必要性も同時に感じます。

今回紹介させていただきました浄土真宗の飾り方は今主流の「モダン仏壇」における飾り方を中心に説明しており、従来の仏具を一部使ったり、仏具の金色を推奨する部分を残したりと、伝統を残し、今に合う「浄土真宗大谷派(東)の飾り方」をご紹介させていただいたつもりです。

この記事が皆様の大切なご供養のお役に立つことを願っております。最後までご視聴頂きまして誠にありがとうございました。

浄土真宗大谷派(東)のお仏壇の飾り方、仏具の飾り方、お供えについて
最新情報をチェックしよう!